列車の遅延で旅客が待たされているときに、たいていはバックオフィスがまず察知する
Southeastern Railway 社は、1 日あたり 50 万人を超える人がイングランド南東部を移動するために利用しています。英国の遅延補償 (Delay Repay) 制度では、電車が 15 分以上遅延した場合、旅客は払い戻しを請求できます。Southeastern 社のカスタマーリレーションチームは、旅客が運行トラブルで待たされた場合に発生する補償請求を審査し、解決することを担当しています。ServiceNow 導入以前は、すべての請求について、電車の移動データの確認、チケットの確認、払い戻しの計算、応答の作成、支払いの手配を手作業で行う必要がありました。
重大事故が 1 回起きるだけで、1 か月に約 20,000 件の請求が発生することもあります。Southeastern 社では、旅客が補償を受け取るまでに最大 20 日間待たせることがありました。チームはチケットの確認、支払いの計算、苦情への対応に奔走し、業務を維持するためだけに一度に最大 50 人の臨時職員を雇うこともありました。管理者は、分断された複数のシステムから報告書をまとめる作業に何日も費やし、分断されたシステム間で不正行為を特定することはほぼ不可能でした。
カスタマーリレーション運用マネージャーの David Banham 氏は次のように振り返ります。「払い戻しの遅れと人件費の変動によって、旅客と鉄道事業チームの両方が不満を募らせていました。持続可能な状況ではありませんでした」。
より迅速でレジリエンスの高いカスタマーオペレーションを構築するために、Southeastern 社は ServiceNow AI Platform 上でカスタマーオペレーションを統合し、信頼できるデータ基盤を構築してからまず遅延補償を自動化し、続いてより広範な AI イノベーションを実現しました。
Southeastern 社は UP3 社とのパートナーシップによりプラットフォーム上でオペレーションを再構築
Southeastern 社はカスタマーサービス管理 (CSM) を選択し、ServiceNow パートナーの UP3 社と連携して、カスタマーオペレーションをシングルプラットフォーム上で統合しました。
「私たちは IT の専門家ではなく、鉄道の運営が本業です」と Banham 氏は言います。「ServiceNow で強力なプラットフォームを導入できましたが、その力を引き出し、特定のニーズに合わせてカスタマイズするには、UP3 社が鍵となりました」。
UP3 社が、運用システム、チケットデータ、補償ワークフロー、不正行為検出を ServiceNow のシングルプラットフォーム上にまとめてくれたため、コンタクトセンターのエージェントはすべての旅客とのやり取りを完全に把握できるようになりました。遅延補償、苦情、乗車介助の予約、紛失物、旅客からの問い合わせなど、すべてが初めて 1 か所にまとめられました。
UP3 社のアーキテクチャ責任者である Callum Ridley 氏は次のように述べています。「以前に同様の課題を解決した経験があったため、それまでの手動プロセスを自動化するために必要な旅客、乗車券発行、運用に関するデータを ServiceNow で統合できることはわかっていました。このプラットフォームは、Southeastern 社がこれからも発展を続けていくための基盤となるでしょう」。
遅延補償の改善から始まったものが Southeastern 社の AI イノベーションの基盤となる
遅延補償を最新化するプロジェクトとして始まったものが、すぐに AI によるカスタマーサービス改善を目指すより広範な戦略となりました。Southeastern 社は、旅客、運用、乗車券発行のデータを ServiceNow AI Platform に統合してからは、業務を自動化したり、意思決定を改善したり、従業員が旅客対応に集中できる時間を増やしたりする新たな機会を見出せるようになりました。
現在、Southeastern 社では遅延補償請求の約 70% を自動的に処理しています。旅客も以前は数週間待たされていましたが、今では 24 時間以内に払い戻しを受けられるようになりました。現在、カスタマーリレーションチームは、払い戻しが急増するような事態にも社内で対応することができます。
Southeastern 社は、旅客、運用、乗車券発行のデータを統合してから、事業全体でカスタマーサービス業務をどのように遂行するかを再検討し始めました。個別のタスクを自動化するというより、手作業を排除し、意思決定を向上させ、従業員が顧客に集中できる時間を増やすために AI を活用できる分野を特定しました。
信頼できるデータ基盤が整ったことで、Southeastern 社は、カスタマーサービス管理 (CSM) での ServiceNow Otto 活用を拡大し、AI を応用してレポート作成の自動化、ケースの要約、苦情の分類、カスタマーサービスの改善を実現しました。
「ServiceNow の優れた点は、すべてのデータが 1 か所にまとめられていることです」と、Ridley 氏は言います。「すべての旅客について完全に把握できます。AI は適切なデータ基盤なしでは機能しないため、これは不可欠です」。
Ridley 氏は、UP3 社との AI ワークショップにチームを参加させ、排除対象とする時間のかかる手動タスクを特定しました。
Ridley 氏は言います。「スタッフは AI に大きな抵抗を感じる可能性があります。早い段階からチームを関与させ、AI からどのような支援が得られるかをチームが理解できるようにしたいと考えていました」。
そのワークショップを通じて、手作業を排除し、意思決定を向上させ、従業員がより価値の高いタスクに集中できるようにするための 6 つの AI イニシアチブが生まれました。 1 つ目として、時間のかかる重大なインシデントのレポート作成プロセスをまず対象としました。どの運行トラブルの後でも、複数名のアナリストが 96 時間をかけて苦情件数や補償額、旅客の感情、ルートレベルの内訳などのデータを上級管理職向けに収集していました。UP3 社は重大インシデントレポートジェネレーターを 3 週間で構築しました。このツールは、ServiceNow Otto を使用して、ServiceNow 内のインタラクションを分析し、4 分で完全なレポートを作成します。
「これにより、非常に大きなタスクの所要時間が 96 時間から 4 分に短縮されました」と、Ridley 氏は述べています。「それを達成して以来、さて次は何ができるだろうかと考えるようになりました」。
チームはすぐにその取り組みをレポート作成から業務へと拡大し、従業員と旅客を日々サポートしています。 ServiceNow Otto を使用すれば、ワンクリックで簡潔なケースサマリーを生成することができ、エージェントは長々しいケースメモに目を通す必要がなくなります。ServiceNow 仮想エージェントを使用して構築されたチャットボットは、4 週間で本稼働できるようになりました。現在では Web チャットの問い合わせの 70% を処理しており、カスタマーサービス担当者はより複雑なケースに集中できるようになりました。
これらの改善が定着したので、Southeastern 社は「取り込みを自動化し、傾向を早期に特定する」という次の機会に目を向けました。ケース分類の自動化により、これまで最大 4 営業日もキューに入れられていたケースが、今では到着した瞬間に 300 以上の連絡先カテゴリの 1 つにアサインされるようになりました。
安定した人員配置と同日処理の安全アラートにより、雇用急増や審査の遅れを排除
この変化は、Southeastern 社のワークフローだけでなく、労働力モデルにも変化をもたらしました。かつては、重大なインシデントが 1 件発生すると、処理に遅れを生じさせないために、最大 50 人の臨時職員を雇用する必要がありました。今日、人員配置は安定し、従業員は多くの時間を、人間の判断が必要とされる複雑なケースの解決に費やしています。かつてはマネージャーが数日かけてインシデント報告を作成していましたが、今では完全なデータを数分で入手できるようになりました。
Southeastern 社は、ケースが送信された日に新たな傾向や安全上の問題を約 95% の精度で検出し、4 日間を要していた審査バックログを同日処理のシグナルに変え、問題の早期把握を担当するチームに通知しています。
こうした AI ワークフローにより、チームの働き方が変化しただけでなく、カスタマーエクスペリエンスも変化しました。顧客満足度は約 82% から 87% に上昇しました。遅延補償の平均応答時間は、かつて最長で 20 営業日を要していたものが 2.9 日に短縮され、自動化された請求により 24 ~ 48 時間以内に払い戻されることが多くなりました。
サービス提供から始まった改革が今では Southeastern 社の運営方法を形作っている
Southeastern 社が遅延補償のために構築した基盤は、現在、カスタマーオペレーション全体の継続的な改善をサポートするものとなっています。この鉄道会社が AI と自動化の利用を拡大するにつれ、従業員が運行トラブルに対応し、より迅速な意思決定を行い、旅客が期待する応答性の高いサービスを提供する体制が整っていきます。
「AI から自動化までのこれらすべての変化によって、当社はパフォーマンスの最前線に立ち、最終的にはカスタマージャーニーを改善できるようになります」と、Ridley 氏は述べています。