共感により競争優位性を生み出す
TP 社は、デジタルビジネスサービスのグローバル企業であり、数字を示すとその規模が巨大であることがわかります。約 100 か国に 300 を超える言語や方言を話す数十万人の従業員を擁しており、年間 5,600 万時間以上の従業員トレーニングを実施しています。これらの大きな数字を考えると、TP 社が過去 3 年間、世界の働きやすい職場上位 5 社にランクインしていることの素晴らしさがさらに際立ちます。
それを実現するかぎとなっているのは何でしょうか。それは人間味のある「共感」です。「私たちは、お客様を喜ばせるビジネスを行っています」と、TP 社 IT デジタルトランスフォーメーション担当グローバルシニア VP である Greg Vise 氏は語ります。
テクノロジー主導の世界における人間味
TP 社は、クライアントにポジティブなカスタマーエクスペリエンスを提供するフロントライン企業として、人間同士のやり取りを重視しています。真にインパクトのあるテクノロジーイニシアチブを実現するには、ヒューマンエクスペリエンスを中心に据える必要があるというのが、TP 社の考え方です。
「私たちは、人間主導でのテクノロジーの推進に誇りを持っています」と Vise 氏は言います。「当社は長年にわたりテクノロジーを活用してそれぞれのお客様をサポートし、必要なサービスを提供するまでの時間を短縮してきましたが、人間味のある仕方でそうしてきました」。
このような革新的な企業が AI テクノロジーを早期に導入するのは当然のことです。しかし TP 社の違うところは、AI を生産性追跡装置と見なすのではなく、人間の共感を高めるものとすべきと考えている点にあります。
170 か国で約 50 万人の従業員が顧客にサービスを提供している中で、こうした点は見失われがちです。「毎月数百万件ものやり取りがありますが、結局は人間同士の単純なやり取りなのです」と、グループ最高情報責任者 Dev Mudaliar 氏はコメントしています。
地域の違いを尊重しながら、グローバル標準を確立
TP 社では、いくつかの実務的な課題に直面していました。たとえば、従業員向けのグローバルな 24 時間 365 日の IT サービスデスクサポート全体を対象としながら、さまざまな地域のサポートモデル、言語、テクノロジーの複雑さを管理する方法を見つける必要がありました。同社は全世界で 6 つの異なる IT チケットプラットフォームを使用していたため、一貫性のある自動化を推進することが難しく、IT サービスのオーケストレーションにとって課題となっていました。
「基本的に、すべての中核となる 1 つのエンタープライズサービス管理プラットフォームを求めていました」と Vise 氏は言います。「複数の異なる国や言語に対応できるソリューションが必要であり、それが ServiceNow プラットフォームでした」。
このプラットフォームは、IT サービスデスクチームが AI 機能を構築し、AI をそのパフォーマンスに完全に統合して、日常の一般的な業務を自動化し、手作業を排除するための強固な基盤となりました。この強固な基盤には、カスタマーサービス管理 (CSM)、IT Service Management (ITSM)、IT Operations Management (ITOM) が含まれており、TP 社は IT サービスデスクのプロセスを統一し、統合されたリアルタイムの情報を従業員に提供できるようになりました。
TP 社は、ServiceNow AI プラットフォームの一部として、プロセスマイニングを使用した IT プロセスフローの分析を行っています。ITOM ヴィジビリティ & ディスカバリー製品の一部として、TP 社ではサービスグラフコネクタを利用して、Vise 氏のチームがサードパーティアプリケーションに接続することを可能にし、オムニチャネルアプローチをサポートしています。
AI を通じた人間的なつながりの支援
チームがプロセスマイニングにおいてわずか 1 年で達成した驚異的な成果に後押しされ、TP 社は、ServiceNow の AI 機能が自動化の取り組みをさらに前進させるための次の大きな機会となると考えました。
TP 社は、AI によって従業員の共感をさらに高めることができると考えています。その考えを 1 つの理由として、IT サービスデスク担当者の生産性向上を優先することにしました。その目標の下に、インシデントやチャットの要約など、最も定型的で時間のかかるタスクを自動化のターゲットとしました。そして、サービスデスク担当者が新しい案件を受けるたびに履歴ページをスクロールする必要がないようにしました。これにより TP 社の担当者は、毎月 30 万件の IT インシデントと要求を解決するためにかかる時間を削減でき、顧客の直接サポートにおいてさらに良質なカスタマーケアを提供することに、より多くの時間を割けるようになりました。また、各案件の時間を数分ずつ短縮できるため、大幅なコスト削減にもつながっています。
「これまでは、ハードウェアを 1 つ要求するだけでも、複数のメール、フォローアップ、添付ファイル、場合によっては翻訳も必要でした」と Vise 氏は言います。「現在では、ServiceNow の従業員センターポータル、WhatsApp、MS Teams、その他モバイルアプリケーションとのインターフェイスを通じて、すべてがリアルタイムで行われています。本当に素晴らしい成果であり、従業員同士の距離が縮まりました」。
AI による真の支援
ServiceNow の AI 機能を使用することで、TP 社の IT サービスデスク担当者は、これまで手動で作成する必要があったクローズ/解決メモを自動的に生成できるようになりました。毎回手作業で入力する代わりに、今ではそれらが正確かどうかを確認するだけで済みます。ServiceNow AI プラットフォームに組み込まれた AI ツールと機能は、サービスデスク担当者が直感的に使用できるものであり、TP 社が成果を出し始めるまでさほど時間はかかりませんでした。
「インシデントの要約を活用することで、ステークホルダーに迅速に最新情報を提供し、根本原因分析とインシデントの要約を短時間で把握してもらえるようになりました。これら 2 つのユースケースは、私たちにとって非常に大きなものでした」。
タスクの削減、コードの改善、回答の迅速化
重大インシデント管理の処理では、1 日あたり約 15 ~ 25 分が節約されています。これにより、IT 部門はサービスの復元に集中できるため、顧客対応の TP 担当者は、より優れたカスタマーケアをさらに迅速に提供できるようになりました。
また、技術スタッフのコード開発能力も向上しています。「クリエーターの Now Assist を活用することで、開発者は重大なインシデントや日常的なタスクに対してさらに高品質なコードをより短時間で作成できるようになり、価値実現までの時間を短縮できます」と、Vise 氏は語っています。「アプリケーションもはるかに短時間でリリースできるようになりました」。
従業員センターでは、スタッフの問い合わせへの回答が AI によってより精度が高くなっており、IT サービスデスクの解決率に変革をもたらしています。TP 社の従業員が AI を活用した仮想エージェントを介して質問することで、同社は問い合わせ回避率を倍増させることができました。AI が導入されるまで、TP 社の従業員は数多くのカタログアイテムやナレッジ記事をしらみつぶしに調べていました。AI 検索の Q&A を使用すると、ユーザーは真に役立つ回答を迅速に受け取ることができます。
AI ジャーニーの次のステップに進む
ServiceNow AI プラットフォームの初期の成果に後押しされた TP 社は、続いて予測インテリジェンスを導入し、フォーム入力を自動化して、生成 AI をさらに活用できる 20 以上のユースケースを特定しました。また、クリエイティブなプロンプトと一貫性のある文書化により、AI が変更管理をどのようにサポートできるかを検討しています。さらに、同社での生成 AI の使用は、AI エージェントの将来的な導入に向けての基盤を構築しています。AI エージェントは、高いスキルを持つ TP 社の社内 IT サービスデスク従業員のコラボレーターとして、効率性を高め、品質を向上させる働きをすることが期待されています。
「全社的にドミノ効果がありました」と Vise 氏は言います。また、いくつかの注目に値する新たなユースケースもあります。「ServiceNow AI プラットフォームの素晴らしいところは、従業員センターポータル、MS Teams、WhatsApp、モバイルのオムニチャネルアプローチにより、すべての新しいアイデアを 1 つのユーザーエクスペリエンスにまとめられることです」。
将来に向けた最適なパートナーシップ
Mudaliar 氏は、「このプラットフォームの最大のメリットは、すべてがシンプルになることです。そして私たちは、AI を人々の役に立つものにしています」と語ります。そして、そのとおりの成果を上げています。ビジネスを変革する ServiceNow AI プラットフォームは、TP 社に真のインパクトをもたらしました。同社の従業員向け IT サービスデスクサポートを自動化する能力は 38% 向上し、AI を活用した仮想エージェントの使用で従業員のケース問い合わせ回避率は 10% 改善され、エンドユーザーの CSAT スコアは最初のほんの数か月で 8% 上昇しました。
Vise 氏は、同社のエクスペリエンス全体と、ビジネスのあらゆる側面に AI を導入することの強い期待感について、次のように要約しています。「私たちは世界を 1 つにまとめ、それを IT の観点からさらに小さなものにしました。言語の障壁があり、さまざまな異なるシステムを用いる IT 担当者を世界中に分散して配置するのではなく、当社は 1 つにまとまったグローバルな IT 組織として活動しています」。
Vise 氏は、その成功の多くが同社と ServiceNow の関係によるものであることも高く評価しています。「パートナーと信頼関係を築くことが最も重要です。私たちは、目標を達成するために ServiceNow を信頼しており、常にカスタマーエクスペリエンスを中心に据えて、すべてのことにともに取り組んでいます」。