- 目的 IT はデータ管理、コミュニケーション、業務支援機能 (財務、人事、情報保管など) に重点を置いています。データの可用性と完全性を管理し、確保します。一方、OT は物理的なプロセスや機器のコントロールと監視に関係しており、製造、公益事業、運輸などの業界に不可欠です。その役割で中心が置かれているのは、安全性、効率性、継続的な運用の維持です。
- 環境 IT はデータセンターやクラウド、またコンピューターやスマートフォンを始めとするエンドユーザーデバイスなど、従来型のコンピューティング環境で稼働します。これに対し、OT は産業の現場で機能し、専門的な機械や制御システムと連動して動作します。これには多くの場合、プログラマブルロジックコントローラ (PLC)、SCADA システム、さらには物理的なプロセスの監視やコントロールを行うよう設計されたロボットなどの機器が含まれます。
- セキュリティ IT セキュリティは、データ保護の概念に基づいて構築されており、権限を有する個人のみにデータアクセスを許可します。OT セキュリティでは、物理プロセスの安全性と機能性が優先されます。OT の障害は、オペレーションのダウンタイム、機器の損傷、有害な事故につながる可能性があるためです。OT セキュリティが重点を置くのは、機械とシステムの機能そして安全性を維持することです。
- システムの更新 通常、IT システムには定期的または自動的な更新が頻繁に適用され、パフォーマンスを強化しソフトウェアを最新の状態に維持するとともに、既知の脆弱性すべてに対するパッチも適用されます。OT システムは寿命がはるかに長く、同様のメンテナンスを行うと重要な産業プロセスを中断する可能性があるため、必要な更新の頻度は低くなる場合があります。更新が必要な場合は、慎重に管理してダウンタイムを最小限に抑え、オペレーションの継続性に影響を与えないようにします。
- デバイスの適応性 OT ネットワークのデバイスは多くの場合、小型のモジュール式で、さまざまな場所 (壁、柱、車両内、産業機器など) に設置できます。それとは対照的に、IT のハードウェアは一般的に、データセンターやオフィス環境に限定して設置されます。
- 産業用耐久性 通常、OT ネットワークのインフラストラクチャは産業の現場環境での展開に耐えるのに十分な堅牢性を備えています。デバイスは、極端な温度、衝撃、振動、湿気、腐食性の化学薬品、その他の過酷な要素への露出に耐える必要があります。IT 機器は通常、この種の保護を必要としません。
- 専用の接続性 OT ネットワークは多くの場合、産業用モノのインターネット (IIoT) 接続のための専用インターフェイスをサポートしており、これによって通信範囲と電力効率を拡張します。IT ネットワークでは通常、イーサネットまたは Wi-Fi を使用し、速度とデータのスループットの向上を優先します。
- 通信プロトコル OT デバイスは、独自の通信プロトコルに依存して IoT センサーや機械と接続します。これらのプロトコルは、標準的な IT プロトコルとは大きく異なり、産業オペレーションに特化した通信を確立します。
- 専用と汎用 OT デバイスは、機械のコントロールや物理プロセスの監視など、24 時間 365 日の信頼性が求められることが多い特定の産業タスク向けに設計されています。これとは対照的に、IT デバイスはデータの処理や保管などの汎用タスクをサポートします。
- 寿命と耐久性OT デバイスは、多くの場合極端な温度や強い振動にさらされる環境などの困難な条件で、長年にわたって継続的に動作する必要があります。これに比べ、IT デバイスの寿命は短く、通常約 3 ~ 5 年で、普通は温度制御された環境で維持されます。
- オペレーティングシステムとソフトウェア IT デバイスは、Windows、iOS、Linux など、広く採用されているオペレーティングシステムを使用しており、アップデートとメンテナンスが比較的容易です。OT デバイスは、多くの場合、専用の (あるいは独自の) ソフトウェアで動作することが多く、独自の通信プロトコルを組み込んでいる場合もあるため、更新や統合には労力がかかります。
- メンテナンスとアクセシビリティ IT デバイスは定期的に更新され、簡単な交換オプションを備えているため、メンテナンスが容易です。OT デバイスは、遠隔地や産業拠点に設置されることがあるため、アクセスが困難になる場合があります。変更の実施は産業プロセス全体に影響を与える可能性があるため、これらのデバイスのメンテナンスは多くの場合複雑なタスクになります。
IT と OT は、違いがあるにしろ、異なる点よりも共通点の方が多いかもしれません。特に、テクノロジーとサイバーセキュリティのニーズが進化し続ける中、両者は次のようないくつかの中心的なゴールやアプローチが共通しています。
- 運用効率
OT と IT はどちらも、組織内の効率を向上させるためのものです。IT はデータ管理とビジネスプロセスを最適化し、OT は産業プロセスのパフォーマンス向上に重点を置いています。これらのツールは、データ分析、自動化、意思決定を改善し、両方の分野でより効果的な運用を推進します。 - テクノロジーの導入
IT と OT は、どちらも同じく人工知能 (AI)、 機械学習 (ML)、 クラウドコンピューティングなどの高度なテクノロジーを組み込んでいます。これらのツールは、データ分析、自動化、意思決定を改善し、両方の分野でより効果的な運用を推進します。 - 多面的なスキル
OT と IT が融合するにつれて、それらに関わる従業員には両分野にまたがる専門知識の必要度が高まります。これにより、サイバーセキュリティの管理、統合システムのトラブルシューティング、OT リソースと IT リソースがもたらすベネフィットの最大化が可能になります。 - アクセスコントロール
OT と IT はどちらも厳格なアクセスコントロール対策を実施して、権限を有する担当者のみが機密のシステムやデータにアクセスできるようにします。これにより、ターゲットがデータであっても物理的な機器であっても、不正な干渉から保護できます。
- データセキュリティ
どちらの分野もデータセキュリティを優先し、侵害や不正アクセスからデータを保護します。OT では、これには物理プロセスに不可欠なデータの保護が含まれますが、IT セキュリティではビジネスデータと顧客データに重点が置かれます。 - 信頼できるインベントリ
環境を問わず、資産の検証済みインベントリを維持することは不可欠で、これはすべてのハードウェアとソフトウェアの安全性とコンプライアンスを維持し、意図したとおりの動作を保つことに役立ちます。 - 脅威とリスクの可視化
OT と IT のどちらも、脅威検出ツールに依存してシステムの潜在的なリスクを監視しています。リスクのタイプは異なりますが、システムとその脆弱性に対する可観測性の必要性は常に共通です。 - 調和の取れた一貫した実行
どちらの領域でも、セキュリティプロトコルとシステム運用の一貫した実行が不可欠です。この調和の取れたアプローチにより、中断を最小限に抑え、運用の円滑かつ安全な稼働を確実にすることができます。
さらに、そうした分野をサポートするチームや部門も、連携することでメリットを得られます。OT チームと IT チームは互いの強みを活用して、運用効率と信頼性を向上させることができます。たとえば、OT システムが生成する大量のデータを IT のアナリティクス機能で処理すると、プロセスの最適化とメンテナンス管理に関する実用的なインサイトを得ることができます。この技術的な連携により、両方のシステムが同期して機能し、より包括的なデータが提供されるようになり、運用コントロールを強化できます。