分散システムとは? 分散システムとは、共通の目標を達成するために連携して動作する、独立したコンピューターまたはデバイスのネットワーク化された集合体です。複数のノード間でリソースを共有し、プロセスを連携させることで、スケーラビリティと信頼性を向上させながら、単一障害点のリスクを軽減します。  デモを依頼
分散システムについて知っておくべきこと
主なコンポーネント 分散システムと一元管理システムの比較 さまざまなタイプ 実例 メリット 課題 分散システムの仕組み 分散システムの実装方法 ServiceNow による分散システム

組織では、リモートワークが拡大し、最新のタスクが複雑さを増すにつれ、連携して機能するコンピューターのネットワークに対する依存度が高まっています。このような変化により価値が際立ってきている分散システムとは、作業負荷を共同で処理するデバイスとノードの相互接続ネットワークです。

分散システムの概念は、ネットワーキングとコンピューティングの黎明期にまで遡り、当初はタスクを分散化して効率と信頼性を向上させることに重点を置いていました。時間が経つにつれ、ネットワークインフラストラクチャテクノロジーやクラウドコンピューティング、ストレージソリューションの進歩により、分散システムは実験的なツールから最新情報技術 (IT) の基盤となるコンポーネントへと変化を遂げています。 

すべて展開 すべて折りたたみ 分散システムの主なコンポーネント

複数の独立したノードを連携させ、一体として機能させることは、単純な作業ではありません。これを実現するために、分散システムは効率的かつシームレスに動作するよう複数の基本的なコンポーネントと原則に基づいています。このアプローチを定義する主な要素は次のとおりです。

  • 拡張性
    拡張性とは、パフォーマンスを損なうことなく成長に対応するシステムの能力を指します。これは、需要の増加に応じてノードやリソースを追加することで達成され、システムはより大きな作業負荷やユーザー数の増加を適切に処理することができます。

  • リソース共有
    分散システムは、複数のノード間でハードウェア、ソフトウェア、データを共有します。そうすることで、さまざまなリソースをより効果的に活用し、単一のコンポーネントに過剰な負担がかからないようにします。

  • オープン性
    オープン性とは、分散システムが新しいテクノロジーとどの程度容易に統合でき、変化に対応できるかを表します。オープンなシステムは、相互運用性と拡張性をサポートするため柔軟性に優れており、組織は IT インフラストラクチャを長期的に進化させることができます。
  • 並行処理性
    並行処理性は、複数のタスクを同時に処理するシステムの能力です。分散システムはさまざまなノードにオペレーションを分散させることで、異なるユーザーやアプリケーションが重複するタスクを実行しても、効率的に処理できます。

  • 耐障害性
    耐障害性は、ハードウェアやソフトウェアの障害が発生した場合でも、システムの信頼性を確保します。分散システムは、パフォーマンスを大幅に低下させることなく、単一障害点を迅速に検出して排除し、タスクを再分配して機能を維持することで、これを実現します。

  • 透明性
    矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、分散システムにおける「透明性」とは、基盤となるインフラストラクチャの複雑さをユーザーやアプリケーションから見えないようにすることです。つまり、ユーザーはシステムを操作する際にリソースの分散や管理の方法を知る必要がないため、エクスペリエンスが簡素化され、データプライバシーが確保されます。
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分散システムと一元管理システムの違い

構造面で言えば、分散システムは従来の一元管理インフラストラクチャとは正反対です。一元管理される (つまり「モノリシック」な) システムは単一制御点に依存していますが、分散システムは分散型のアプローチを採用しており、複数のノードが連携して共通の目標を達成します。

一元管理システム 
一元管理システムとは、すべてのコンピューティングタスクやデータストレージ、意思決定が単一の中央サーバーやノードによって管理されるシステムです。周辺機器やユーザーは、すべてのアクティビティのプライマリハブとして機能する中央ノードと直接やり取りします。 

  • 単一制御点
    すべての意思決定とリソース管理が中央ノードで行われ、明確な階層が形成されます。 
  • 一元的なデータ管理
    データが 1 か所で保存・処理されるため、管理は簡素化されますが、ボトルネックが生じる可能性があります。 
  • 管理の簡素化
    単一制御点により、一元管理システムは管理と連携がより容易であるため、小規模またはあまり複雑ではない環境に適しています。 
  • 潜在的な脆弱性
    中央ノードで問題が発生すると、単一障害点がダウンタイムや中断につながる可能性があります。さらに、中央ノードに対する要求が大きいことで、遅延や輻輳が発生する可能性があります。 
  • 線形の開発
    一元管理システムでは、線形アプローチで開発が行われることが多く、チームはコンポーネントに対して順に作業します。前のタスクが完了しないと変更できないことが多いため、プロセスの速度が低下する可能性があります。 

分散システム 
対照的に、分散システムでは、ネットワークを介して通信・コラボレーションする複数の独立したノードにコンピューティングタスクやデータ管理、意思決定を分散させます。 

  • 分散型の制御
    単一のノードがシステム全体に対する権限を有することはありません。代わりに、各ノードが自律的に動作し、システムの全体的な機能に寄与します。 
  • 耐障害性
    分散システムは、障害が発生しても他のノード間でタスクを再分散することで、影響を最小限に抑え、中断のないパフォーマンスを確保します。 
  • 拡張性の向上
    分散システムは、ノードを追加することで拡張できるため、作業負荷の増加やユーザー基盤の拡大に適しています。 
  • ノード間のコラボレーション
    分散システム内のノードはリソースと情報を共有しながら、連携してデータを処理し、サービスを効率的に提供します。 
  • モジュール型の開発
    分散システムはモジュール型の開発をサポートしており、チームはさまざまなコンポーネントやサービスで作業を並行して進められるため、開発速度と柔軟性が向上します。 
  • より頻繁な更新
    分散システムは、モジュール型アーキテクチャにより、年間を通じて頻繁に増分更新ができるため、新機能と改善の迅速な展開が可能になります。  
  • 並行開発能力
    分散システムの分散構造により、複数の開発チームが異なるコンポーネントで並行して作業してもシステム全体の混乱を引き起こすことがないため、アジリティが促進され、イノベーションがより迅速に進みます。
さまざまなタイプの分散システム

分散システムは、そのアーキテクチャと機能に基づいていくつかのタイプに分類できます。各タイプは、特定のニーズやユースケースに対応しています。 

  • クライアント/サーバーシステム
    この従来型アーキテクチャでは、サーバーが提供するリソースやサービスをクライアントが要求してデータ処理やストレージ、共有リソースアクセスなどのタスクに使用することができます。例としては、ブラウザ (クライアント) が Web サーバーからコンテンツを取得する Web アプリケーションがあります。 
  • ピアツーピア (P2P) ネットワーク
    ピアツーピアシステムは、クライアントとサーバーの両方として機能するノード間で作業負荷を分散します。この分散型構造により、中央のサーバーが不要になり、ノードがリソースを直接共有できるようになります。このアーキテクチャのよく知られた例としては、ファイル共有プラットフォームがあります。 
  • 3 層アーキテクチャ
    このモデルは、システムをプレゼンテーション層 (ユーザーインターフェイス)、アプリケーション層 (ビジネスロジック)、データ層 (データベース) の 3 つの層に分離します。各層は独立して動作するため、拡張とメンテナンスがより管理しやすくなります。電子商取引プラットフォームなど最新の Web アプリケーションの多くは、このアーキテクチャを使用しています。 
  • マイクロサービスアーキテクチャ
    マイクロサービスは、アプリケーションを小さな独立したサービスに細分化し、それぞれが特定の機能を担います。これらのサービスは、API やメッセージングシステムを介して相互に通信し、柔軟性と拡張性を提供します。例えば、個別のサービスがプロファイルや推奨事項などを管理する、オンラインストリーミングプラットフォームなどです。 
  • サービス指向アーキテクチャ (SOA)
    マイクロサービスと同様に、SOA は機能をサービスにまとめます。しかし、SOA は多くの場合、エンタープライズサービスバス (ESB) を使用してコンポーネント間の通信を容易にします。このアーキテクチャは通常、大規模なエンタープライズシステムで使用されます。 
  • イベント駆動型システム
    イベント駆動型システムは、ネットワーク全体で特定のアクションやワークフローをトリガーするイベントに基づいて動作します。コンポーネントは非同期に相互作用し、変更や更新にリアルタイムで応答します。このアーキテクチャは、センサーがイベントを検出して対応するモノのインターネット (IoT) アプリケーションで一般的です。 
分散システムの例

分散システムはアーキテクチャが分散しているため、ほぼすべての業界で幅広いユースケースをサポートできます。分散システムとそのアプリケーションの最も代表的な例を以下に示します。 

  • ネットワーク
    インターネットなどのネットワークは、分散システムの最も初期かつ最も普及している例の 1 つです。ローカルエリアネットワーク (LAN) や広域通信網 (WAN) を介してコンピューターが通信し、リソースを共有できます。また、ピアツーピアネットワークやメールシステムも、分散コンピューティングを活用してシームレスなデータ交換を可能にしています。 
  • 並列プロセッサー
    並列処理システムは、計算タスクを複数のプロセッサーに分割して、演算を同時に実行します。これらのシステムは、科学シミュレーション、天気予報、データ分析、さらにはクリプトマイニングなどの高性能アプリケーションに使用されています。 
  • 分散型リアルタイムシステム
    リアルタイムシステムは、航空予約システムやライドシェア配車プラットフォーム、自動製造制御システム、物流トラッキングなど、即時処理に大きく依存する業界で不可欠です。 
  • 分散データベースシステム
    分散データベースは、複数のサーバーや物理的な場所にまたがってデータを保存します。データのレプリケーションやパーティショニングにより、拡張性と信頼性が向上します。同種データベースは一貫した構成を使用しますが、異種データベースは複数のデータモデルを統合して柔軟性を高めています。 
  • 分散型 AI
    分散型人工知能 (AI) は、複数のノードが持つ計算能力を活用して大規模なデータセットを処理し、機械学習 (ML) タスクを実行します。このアプローチは、自動運転車や自然言語処理 (NLP) などのアプリケーションをサポートします。 
  • 通信ネットワーク
    携帯電話や VoIP (Voice over IP) ネットワークを含む現代の通信システムも同様に分散アーキテクチャを使用しています。
分散システムのメリット

分散システムには、従来のモノリシックアーキテクチャと比較していくつかの利点があり、最新のコンピューティング環境に不可欠なものとなっています。主なベネフィットは次のとおりです。 

  • 信頼性
    分散システムは、単一障害点を排除することで、ダウンタイムのリスクを最小限に抑えます。1 つのノードがクラッシュしても、他のノードは中断することなく運用を継続できます。 
  • スピード
    分散したタスクを同時に実行できるため、完了時間が短縮されます。これは、トラフィックの多いアプリケーションや、リアルタイム処理が必要な状況で特に役立ちます。 
  • パフォーマンス
    分散システムは、並列処理を使用してパフォーマンスを最適化します。大規模なタスクを小さなユニットに分割し、複数のノードが同時に処理できるようにすることで、プロセスの遅延を減少し、スループットを向上させます。 
  • 費用対効果
    これらのシステムは、低コストの汎用ハードウェアとクラウドベースのインスタンスを活用するため、従来の一元管理システムよりも安価に拡張できます。必要に応じてノードを追加できることも、初期投資コストを抑えます。 
分散システムの課題

分散システムは大きなメリットをもたらしますが、複雑さと効果的な連携が必要であるため、一連の課題も生じます。分散システム内での作業を検討する際は、次の点を考慮する必要があります。 

  • 複雑なナビゲーション
    相互接続された数多くのノードを管理する複雑さによって、さまざまなコンポーネントがどのように相互作用するかを把握することが難しくなる可能性があります。明確なドキュメントと分散システムマップやダッシュボードなどのツールを使用すると、システムアーキテクチャとその依存関係をより適切に可視化することができます。 
  • ネットワーク障害のリスク
    ノード間の通信は安定したネットワークに依存しています。問題が発生すると、データ転送やシステムの機能が停止する可能性があります。これに対処するには、冗長プロトコルと信頼性の高いフェイルオーバーメカニズムを実装します。 
  • 経費管理が困難
    多数のノードやプロセスの管理で、運用経費が増加します。モニタリング、ログ記録、トラブルシューティングなどはすべて、時間と労力を要します。こうした経費には、特に管理ツール内で自動化を広範囲に導入することで対応できます。 
  • セキュリティ
    分散システムは、攻撃対象領域が大きく、リソースへのアクセスが共有されているため、サイバーセキュリティリスクが増大します。厳格な認証プロトコル、暗号化、定期的なセキュリティ監査を導入することで、機密データとシステムを保護します。 
  • データの一貫性
    すべてのノードが最新の同期されたデータを保持している状態にすることは、特に障害やネットワーク遅延時には難しい場合があります。強力な一貫性モデルを装備した分散データベースを採用することで、データの一貫性を確保します。 
分散システムの仕組み 

分散システムは、タスクを小さなコンポーネントに分割して複数のノードに分散することで機能します。それらのノードは、互いに通信・連携しながら、共通の目的に向かって作業することができます。通常、このプロセスは特定のステップに従って行われます。 

  • タスクの分解:
    このシステムは、タスクをより小さく管理しやすいサブタスクに分割することから始まります。 
  • 分散されたコンポーネント:
    複数のノード (物理コンピューターまたは仮想マシン) がさまざまな場所に分散しています。各ノードが自律的に動作し、システム全体の機能に寄与します。 
  • 通信:
    ノードが、TCP/IP、HTTP、メッセージキューなどの通信プロトコルを使用して情報を交換します。このインタラクションにより、すべてのコンポーネントが連携した状態を維持し、重要なデータを共有できます。 
  • 調整:
    分散システムは、調整メカニズムにより複数のノード間でアクションを同期しています。コンセンサスプロトコル (Paxos など) や分散トランザクションなどの技術でデータの一貫性を維持し、競合を防止して、システムが調和して動作できるようにします。 
  • 実行と処理:
    各ノードはローカルリソースを使用して、割り当てられたサブタスクを独立して実行します。完了すると、結果が中央管理システムに伝達されるか、または最終出力に集計されます。 
  • 耐障害性:
    障害に対処するため、分散システムには冗長性とレプリケーション戦略が組み込まれています。1 つのノードに障害が発生しても、バックアップノードまたは複製されたデータソースが引き継ぎ、確実に運用を継続させます。 
  • 再統合と完了:
    すべてのサブタスクが処理された後、システムは結果を最終出力に統合します。
分散システムの実装方法

分散システムの仕組みを理解しても、その実装方法を理解することにはなりません。小規模な部門向けにシステムを展開する場合でも、グローバルなインフラストラクチャに拡張する場合でも、次の手順がプロセスの指針となります。 

  • 要件の評価
    ネットワークの規模とキャパシティ、データ量、プロセス頻度、ユーザー数など、組織のニーズを評価することから始めます。さらに、データの忠実性、可用性要件、既存データセンターのキャパシティを考慮します。 
  • 展開範囲の計画
    分散型の展開は、小規模なローカルシステムから大規模なエンタープライズアーキテクチャまでさまざまです。現在のニーズに基づいて適切なカテゴリから始め、組織の成長に合わせて設計を進化できるようにします。 
  • コンテナオーケストレーションの活用
    Kubernetes などのツールを活用し、クラスター間でコンテナ化されたアプリケーションを自動化することで、分散システムの展開、拡張、管理を簡素化します。これにより、一貫したパフォーマンスと運用の簡素化が促進されます。 
  • 分散データベースの実装
    統合されたデータレイヤーを提供するデータベースを使用して、すべてのノードが同じデータにアクセスできるようにするとともに、レプリケーションのサポートで耐障害性を確保します。これにより、データの可用性が確保され、システム全体の一貫性が維持されます。さらに、分散環境におけるデータ保護にクラウドセキュリティを導入します。 
  • 可観測性の向上
    分散システムは本質的に複雑であるため、モニタリングが不可欠です。分散トレーシングを実装し、システム運用に関する可観測性とインサイトを獲得します。分散トレーシングは、複数のノードにわたる要求の追跡、ボトルネックの特定、パフォーマンスの最適化を実施します。AIOps も、複雑な分散環境のモニタリングと問題解決の改善に役立ちます。  
  • 反復と拡張
    分散システムは時間とともに進化することが期待されます。需要の増加に合わせて、リソースの追加や構成の改善、拡張性に優れたテクノロジーの活用により、小規模な展開から大規模なインフラストラクチャへ移行させます。 
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