最新の AI にはほぼ無限のアプリケーションがあり、そのため、サービスとしての AI にはさまざまなツールやプラットフォームが含まれます。それぞれが特定のニーズに対応するように設計されており、高度な AI ソリューションを適用して運用の簡素化、カスタマーエクスペリエンスの向上、データ主導型の意思決定のサポートなどを行います。
AIaaS の最も一般的なタイプと、それらを効果的に使用する方法を以下に紹介します。
ボットには AI チャットボットや仮想アシスタントなどがあり、カスタマーサービスやマーケティングで広く使用されています。これらのツールは自然言語処理 (NLP) を活用して、人間の会話をシミュレートし、継続的なやり取りを通じて向上していくことができます。組織はチャットボットを使用し、反復的な問い合わせを処理したり、24 時間 365 日のカスタマーサポートを提供したりすることで、従業員の負担を軽減し複雑で高価値のタスクに取り組めるようにしています。ボットは、既知の技術的な問題の解決策を迅速に提供することで、IT サポートなどの内部オペレーションを強化することもできます。
その良い例としては、チャットボットを展開してユーザーに買い物のプロセスをガイドしたり、商品を推奨したり、返品を処理したりするなど、パーソナライズされた直感的なカスタマーエクスペリエンスを提供している小売 Web サイトが挙げられます。
アプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を使用すると、モデルをゼロから開発することなく、AI 機能を既存のシステムに統合できます。AIaaS API は、感情分析、言語翻訳、画像認識、エンティティ抽出などの機能を提供します。
組織は自然言語処理 API を使用して顧客のフィードバックを分析して感情を測定し、マーケティング戦略の改善に役立てることができます。同様に、コンピュータービジョン API は、物流会社がパッケージの画像の分析に活用することで、品質管理プロセス全体を通じて潜在的な損傷をより正確に特定できるようになります。
機械学習 (ML) サービスにより、高度な技術的専門知識を必要とせずに、予測モデルを構築して展開できるようになります。これらのサービスは、構築済みモデルを備えたノーコードやローコードのプラットフォームから、完全なカスタムソリューション向けの包括的なフレームワークまで、多岐にわたります。
組織では ML を使用して傾向を特定したり、オペレーションを最適化したり、データ主導の意思決定を行ったりできます。たとえば、医療機関は ML を使用して患者データを分析し、潜在的な健康リスクを予測することがあります。
データラベリングとは、大規模なデータセットにタグ付けして、機械学習のトレーニングに備えるプロセスです。ラベルの付けられたデータは、AI モデルの正確性と信頼性を確保するために不可欠であり、AIaaS ソリューションは通常、人間参加型アプローチを含むデータラベル付けツールを提供します。このツールでは、人間が AI システムと連携してラベル付けプロセスをレビュー、修正、強化し、品質と精度を維持できるようにします。
データラベリングのユースケースには、画像認識モデル用のデータセットの整理、感情分析のための顧客レビューの分類、音声認識のための音声ファイルのアノテーションなどがあります。これらのツールは、あらゆる種類のデータを効率的に構造化して AI アプリケーションに使用できるようにしたり、大規模な分析パイプラインや運用システムへのシームレスなデータ統合を促進したりすることに活用できます。
AI とモノのインターネット (IoT) の融合により、インテリジェントなコネクテッドデバイスが誕生しました。これらは一括してモノの人工知能 (AIoT) として知られています。これは、スマートデバイスが AI を使用してデータを分析し、自律的な意思決定を行うというものです。これを行うために、AIoT アプリケーションはリアルタイムデータ処理、パターン認識、予測型メンテナンスを使用します。
たとえば、製造業における AIoT デバイスは、機械にメンテナンスが必要な時期を予測することでダウンタイムを削減し、コストのかかる故障を防止できます。同様に、スマートホームシステムは AIoT を使用してユーザーの好みを学習してエネルギー使用を最適化し、利便性と効率性を向上させます。
顧客満足度はビジネスの成長に不可欠ですが、高い満足度を達成して維持することにはいくつかの課題もあります。このような課題は、急速に変化する環境で卓越した CX を一貫して提供する必要性に起因します。注意すべき一般的な課題には次のようなものがあります。
- プロアクティブなカスタマーサービスへの移行
- チャネル全体で一貫性のある CX の維持
顧客が頻繁に利用するチャネルやタッチポイントが数十にのぼる場合があり、その数が増えるにつれて、各チャネル間でシームレスなエクスペリエンスを確保することが難しくなります。統合システムとオムニチャネルサポートソリューションに投資することで、一貫性を高められます。すべてのチャネルで CX を定期的に監視し、継続的なギャップを特定して対処すれば、これをさらに強化できます。
- イノベーションと CX のバランスの維持
- ネガティブな体験への効果的な対処
多くの組織は、問題が報告されて始めて対応するという受動型のカスタマーサービスからの脱却に苦慮しています。顧客に連絡してフィードバックを求めたり、AI を使用して潜在的な問題を予測し、問題が複雑化する前に防止したりするなど、プロアクティブなサービス戦略を実施しましょう。
ビジネスのイノベーションは良いことですが、それを優先するあまりカスタマーエクスペリエンスを犠牲にするようでは、そうも言えなくなります。そうしたことがビジネスに影響を与えている場合は、組織文化の問題である可能性があります。イノベーションの焦点をずらして CX も含むようにし、新しいアイデアやコンセプトを使用してカスタマージャーニーを (複雑にするのではなく) 強化することに注力します。
1 回でもネガティブな体験を提供してしまうと、顧客ロイヤルティや評判に大きな影響がおよぶ可能性がありますが、これは必ずしも避けられないことではありません。包括的なフィードバックループにより、問題が購入者の過大な不満につながる前に、それを迅速に特定して修正することができ、ネガティブな体験を顧客満足度へのコミットメントを示す機会に変えることができます。
AIaaS にはいくつかの課題がありますが、全体としてはメリットは潜在的な欠点を上回ります。AI をアウトソーシングすることの主なメリットをいくつか紹介します。
- スケーラビリティ
- アクセシビリティ
- スピード
- 生産性
- 透明性
- 収益とコスト節減
ビジネスは静的なものではありません。時間の経過とともに進化します。AIaaS を活用すると、組織は AI 機能を必要に応じて拡張したり縮小したりでき、大きな混乱なく成長と需要の変化に対応できます。
AIaaS プラットフォームの多くはノーコードやローコードのオプションを提供しているため、非技術者チームでも AI をワークフローに統合できます。これにより、AI の利用が民主化され、組織に開発者や AI の専門家がいなかったり、不足したりしていても、高度なテクノロジーの恩恵を受けることができます。
AIaaS は、AI 機能を最も迅速に展開する方法の 1 つです。構築済みのツール、カスタマイズ可能なソリューション、クラウドベースのデリバリにより、組織は AI テクノロジーを迅速に実装し、組織内でシステムを構築する場合に伴う遅延なしに価値創出を始めることができます。
AIaaS は、よりスマートな意思決定とより効率的なリソース割り当てを可能にすることで、生産性を向上させます。仮想アシスタントと自動化機能により、重要なプロセスが一貫して正確に実行されるようにし、エラーと遅延を最小限に抑えます。
ほとんどの AIaaS の価格体系は従量制であり、コストを明確に可視化できます。この透明性の高さにより、組織は隠れた料金の発生を回避し、実際に使用しているサービスに対してのみ料金を支払っていることを確認できます。
AIaaS では、高価なハードウェアを購入したり、AI システムをいちから開発したりする必要がないので、初期投資を削減できます。さらに、AI を活用した自動化は、人件費を削減し、運用効率を向上させることで、長期的な節減につながります。最終的に、AI を活用したカスタマーエクスペリエンスの向上が収益拡大を促進し、組織は進化する市場で競争力を維持できるようになります。
前述のように、サービスとしての AI はクラウドベースのプラットフォームを通じて動作し、サードパーティベンダーを介して人工知能機能が提供されます。簡単に言えば、組織は独自の AI ソリューションを作成する必要がなくなり、代わりにさまざまなベンダーの AI 機能を「レンタル」できます。
ここでは、AIaaS がビジネスをサポートする仕組みの詳細を説明します。
AIaaS プラットフォームは、クラウドベースのソフトウェアライセンスを通じて提供されます。この従量課金モデルにより、組織はハードウェアやソフトウェアに多額の先行投資をせずに AI を実装できます。これらのプラットフォームをサブスクリプション契約することで、AI 機能にアクセスし、それを迅速に展開して拡張できます。
AIaaS の主なメリットの 1 つは、既存のワークフローとの親和性です。プロバイダーが API とソフトウェア開発キット (SDK) を提供し、これによって AI 機能を現在のシステムに直接統合できるようになるので、既存の IT インフラストラクチャを刷新する必要がありません。
多くの AIaaS プロバイダーは、特定のビジネスニーズに合わせてカスタマイズできる構築済み AI モデルを提供しています。これらのモデルは、多くの場合、ユーザーのデータを使用してトレーニングされるため、組織独自の課題や機会に対応した AI ソリューションを作成できます。カスタマイズにより、AI ツールを組織の目標に沿って機能させ、正確で適切な成果を実現できるようになります。
AIaaS プロバイダーは通常、ツールとサービスの継続的な更新、改善、サポートを提供します。組織は、最新の AI テクノロジーに継続的にアクセスして、高度化し続けるソリューションで戦略を改善できます。また、プロバイダーはシステムパフォーマンスも監視しており、問題の発生をプロアクティブに特定して解決します。
AI が業界を変革し続ける中、AIaaS の未来は明るいものに見えます。組織が AIaaS を利用して、組織内外のプロセスをサポートしたり、必要なあらゆる場面で追加のインテリジェンスや自動化を提供したりすることが多くなっています。急速な進歩とグローバル市場の拡大により、AIaaS がデジタルトランスフォーメーションの基盤となる態勢が整いました。
AIaaS の未来に関する主なトレンドと予測を以下に紹介します。
- より自然で人間に近い AI のやりとり
- パーソナライズ化の大規模な強化
- コラボレーションの統合とデータの一元化
- 導入の拡大
- 市場の成長とイノベーション
NLP と生成 AI (GenAI) の進歩により、AI を活用したエージェントがさらに対話機能を向上させ、より直感的なものになると期待されています。今後のバージョンでは、本当に人間のようなやり取りが実現し、顧客のエンゲージメントと満足度が高まるでしょう。
AI がユーザーの行動を分析して理解する能力が向上するにつれて、AIaaS ソリューションによって組織が高度にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供できるようになります。事前トレーニング済みのモデルとリアルタイムのデータ分析により、やりとりをさらに詳細にカスタマイズして、個人の好みにきめ細やかに対応できるようになります。
AIaaS は、データのサイロ化を解消し、部門横断的なチームワークを促進することで、コラボレーションを強化できる可能性があります。断片化されたデータを集約し、部門間で容易に統合できるツールを活用することで、組織の業務効率と信頼性を高められます。
現在、AIaaS の導入が最も普及しているのはテクノロジー志向の業界です。とはいえ、医療、製造、農業などの分野でも AIaaS の利用が拡大し続け、ドメイン特化型の AI モデルを活用した特定の課題や機会への対処が行われていくことが予想されています。
AIaaS 市場は、今後 5 年以内に著しく成長すると予測されています。この成長はさらなるイノベーションを促進し、より高度なツール、競争力のある価格モデル、アクセシビリティの拡大につながり、さまざまな業界にわたって AI を完全に導入して統合するための障壁の多くが解消されるでしょう。
AIaaS は、組織内の専門知識のレベル、インフラストラクチャの限界、予算の制約にかかわらず、高度な AI 機能を展開して活用する重要な機会を提供します。もちろん、その前にまず適切なパートナーを見つける必要があります。ServiceNow AI Platform は、組織全体で AI の力を活用することでビジネス変革を実現するためのオールインワンソリューションを提供します。
ビルトインの生成 AI エクスペリエンスでコンテンツの要約、予測、生成を自動で行い、生産性を向上させます。IT、カスタマーサービス、人事、ソフトウェア開発など、ビジネス全体でアクションを実行し、課題を解決する自律型 AI エージェントがチームを支援します。機械学習を活用して重要なタスクを自動化したり、成果を予測したり、問題を解決したりすることで、オペレーションを簡素化します。プロセスマイニングとパフォーマンス分析を使用してボトルネックを特定し、ワークフローを可視化します。さらに、インテリジェントな対話型 AI がチームに代わって要求を処理し、シームレスなカスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスを実現します。
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